配属説明会でつかった資料はこちらにおいてあります。

さて,いよいよ自分が所属する研究室を決めなければなりません.今後最低でも1年半の間,所属し研究を行うわけですから,後悔しないよう熟慮して選ぶようにして下さい.研究室に所属されると,これまで講義主体の大学生活から研究主体の生活に変わります.研究に勤しみましょう.
研究室には,指導教員や大学院の先輩方が常におられ研究を行っています.そういった方とのコミニュケーションを図ることも,将来社会人になる学生のみなさんにとって重要なことです.これは講義だけの生活では手にいれることができないスキルですので,配属されたら先輩方と仲よくなりましょう.
それでは,研究室を選ぶに辺り参考にしていただくため,西崎研究室についてQ&A形式で簡単に説明します.

現在(2023年度)の研究室の運営やメンバーは?

2023年度後期からの研究室の学生メンバー(予定)は以下の通りです。

  • 博士課程3年(5名) 博士課程2年(2名)
  • 修士2年(7名) メカトロニクス工学コース,コンピュータ理工学コース,中国からの留学生2名,韓国からの留学生1名,マレーシアからの留学生1名
  • 修士1年(7名) メカトロニクス工学コース
  • 学部4年 (5名)   メカトロニクス工学科
  • 学部3年 (4名?)+1(留年) メカトロニクス工学科

どんな研究をやっているの?

西崎研究室では,音響(音・音声),言語(テキスト),画像,信号処理に関する様々な研究を行っています.もともとは音声認識などの研究を行っていたので,特に,音声言語処理の研究のウエイトが少し高いです.この音声言語処理とは,具体的には:

  • 音声データを分析して認識する(音声認識) 
  • 誰が喋っているのかを特定する(話者認識) 
  • 音声波形の分析(声質などの特徴を取り出す)
  • コンピュータと人間(ヒューマン)との対話システム
  • 音声処理応用アプリケーションの開発(自然言語処理と密接な関係がある) 

といった人間の声を扱う研究になります.こういった技術は例えば,

  • カーナビゲーションシステム
  • 携帯ゲーム機(Nintendo DS)
  • 人と対話するロボット
  • セキュリティゲート(扉のロック解除等)
  • ニュースやスポーツ中継の自動字幕付与(NHKで実用化)
  • 電子カルテの入力
  • 国会・地方議会の議事録自動作成
  • 裁判記録の作成
  • スマートフォンの音声入力
  • Googleグラスなどのウェアラブルデバイス

といったものに応用されています.かつては音声認識技術は使いもになりませんでしたが,近年の技術革新により我々の身近で使われはじめました.

西崎研で研究するにはどのような知識が必要ですか?

プログラミング技術は,研究を行う上で必須です.その他,西崎研の研究では特に,情報理論,統計学,デジタル信号処理,数学の知識を利用します.研究に関する基本知識は配属後の勉強会等を通じて勉強していくので心配する必要はありません.プログラミングが苦手な人は,通常のこえらの基礎勉強に加えて,プログラミングの基礎から勉強してもらう予定です.
 現在,人工知能という言葉が世間を騒がせています.「深層学習」(ディープラーニング)技術が確立され,これを用いた研究が脚光を浴び,世界でこぞって研究されています.みなさんが将来行うであろうものづくりでも,人工知能を取り入れることになると思います.ロボット,家電,自動車…将来は高度な情報処理を行うモノの開発が必要不可欠です.これらについても勉強してもらい,研究に取り入れてもらう予定です.

現在の卒業・修論研究テーマを教えてください

主にマルチメディア情報処理の研究テーマに取り組んでいただく予定です.例えば以下のようなテーマ(一例)を考えています.

【音声対話システム】
音声対話技術を使って,バーチャルな客と会話をするシステムを構築し,接客訓練を行うシステムの開発を行います。

【紙の文書の構造解析】
様々な様式の書類から,どこに名前,住所があるのかを理解し,抽出する技術を開発します。

研究室の運営は,共同研究費や文科省などから頂く外部資金がベースになっています.皆さんの旅費はここから捻出しています.つまり,これらの研究を行なってきた先輩方の研究を引継ぎ,さらなる発展を目指さなければ,研究室の存在意義が無くなってしまいます.

学会活動をするためには,どうしても世界で誰も行っていないことをやらなければいけません.既存の技術を追いかけるのでは学生実験と同じです.未知のことを追究するには,斬新なテーマを設定しなければいけませんが,配属されてからすぐにそれを考えるのは難しいです.テーマを設定し,その枠組の中で,自由なアイデアをだしていくのが良いと思います.

なお,このような方式の研究は次のようなメリットがあります。(1)先輩方の作ったプログラム等を参考にできるため,成果を早く出すことができます.(2)研究室外の専門家が「これは必要だ」と思って提唱した研究テーマになるため,その研究が何のために必要であるかを説明するのは簡単です.実は卒論はこれが重要です.(3)教員が積極的にアドバイスをします.

どんな人が向いていますか?

基本的にはやる気がある人であれば問題ありません.やる気があれば,教員や先輩方が皆さんの能力を最大限に引き出してくれるはずです.

  • 音声言語処理・マルチメディア情報処理・ヒューマンインタフェース・人工知能に興味を持っている人
  • やる気がある人(特に大学院に進学して勉強したい人!理系では修士卒が多いです)
  • いろいろなことに興味を持てる人
  • 成長したい人
  • 世の中に役立つ研究をやりたい人 
  • いろいろなところへ旅行に行ってみたい人(修士になれば海外国際会議にチャレンジ!旅費は支給します)

西崎研に配属されるとどんな恩恵を受けることができますか?

  • 優秀な大学院生が多いので先輩にいろいろと気軽に質問できます.
  • 研究室の歴史は古く,各界で活躍されている多くのOBを輩出しています.これらのOBの方と親交を深めることができます.
  • 研究以外のイベントもあるので,大学生活を楽しめます.(コロナ次第ですが…)
  • きめ細かな指導を行っていますので,社会人になって必要なスキルが着実に身についていきます.
  • 国際色豊かです(英語や中国語でコミュニケーションがとれます)
  • 研究に関するアルバイトに携わることができます。これは普通のアルバイトよりもお得で,かつ,自分の勉強にもなるので一石二鳥です。

大学院へ進学した方が良いのでしょうか?

進学のメリットは多いです.一般的に工学系の場合は大学院卒業が普通になってきました.その背景としては,

  • 科学技術の進歩により学部時代の教育だけでは足りず,大学院でもう少し学んで欲しいと社会が思っている
  • 上記のことから,技術職では大学院(修士)の方が就職の間口が断然広い
  • 大学進学率増加に伴い大学卒業生が増加 ⇒ 大卒と差別化する

 といったことが挙げられます.メリットとしては,

  • 就職に有利である(とくに大企業・技術職ほど).学部の内定率は低いですが,大学院生に限ると内定率は高いです.
  • 昇給・昇進が早い(というのは一般的に学部卒よりも基礎的能力が高いため) 
    • 政府機関の調査によれば,修士課程修了生の生涯年収は,学部卒よりも約4000〜5000万円(あくまで平均)多いそうです。家1軒分です。
  • 大学院時代に研究成果を出し学会で発表するという経験が社会に出て働く上で貴重な経験となる
  • 会社で働くために必要な基礎知識が備わる他,ゼミや研究発表などをこなすことでプレゼンテーション能力,コミュニケーション能力が身につく(これらの能力は社会人にとって一番重要な能力であるとされる)
  • 開発・研究職などに就きやすい

 などがあります.また,大学院では魅力的な講義も多く,将来有益になることは間違いないでしょう.

大学院の進学メリットをまとめたスライド

でも学部で就職したい

就活の競争相手が,大学院生,外国人,そして3年生,就職浪人です.かつ,卒業する学生数も年々増加しています.少ないパイを奪い合う構造になりつつあります.
大学院生は,2年間の研究室生活を経ているため,多くの場合,学部3年生よりも能力が断然に高いです.そのため比較されると大学院生が有利になります.就職浪人も1年間既に就活をしているわけですから,ノウハウをもっています.大学3年生が一番厳しいとマスコミでも言われています.
就活を成功させたければ,研究室に配属されたらすぐに研究テーマを決め,就活の合間に少しでもそれについて勉強しておくことが必要です.新4年生になれば「研究テーマはなんですか」と聞かれることも少なくありません.何もしていない学生よりも,研究もきちんとやっている・こういうことをやりたいとアピールした方が有利でしょう.
なお,学部卒に有利な職もあります.例えば,企業一般職や文系会社等へ就職する場合は,理系院生は不利だと言われています.将来,何をしたいのかで,院に進むか就職するかを考えなければいけません.

金銭的に大学院への進学が難しいのですが…

日本学生支援機構,その他の機関による(有利子・無利子)の奨学金制度がありますので,それらを利用すると良いと思います.
日本学生支援機構の第一種奨学金の場合は返還免除制度があります.修士課程在学時の勉学の成績や研究発表などの功績によって,返還が免除されることがあります.関口・西崎研からも,過去に何名かの学生さんが返還免除を認められています.本研究室では,研究発表を積極的に行うようにしていますので,返還免除が認められる可能性は高いと思います(もちろん,本人の頑張り次第です).

おわりに

どこの研究室に配属されても同じですが,研究室に配属されてからは,生活が一変します.つまり,スカスカの時間割を活かすも殺すもあなた次第です. 今までは上から一方的に教えられることが多かったと思いますが,これからは自らが調べてまとめ上げる技術を育んでいかなければなりません.社会に出てからは,未知の製品を作ることになると思います.どうやったらお客さんに買ってもらえるか,面白いと思ってもらえるのかを考えるのは,研究も同じです.
昨今は景気が良く就職内定率は良くなってきましたが,それでも会社は人選に慎重です.会社は人を取りたくても取れないのは,会社の要求を満たす優秀な人材の不足です.これは大学の教育が悪いと言われれば否定できません.ビジネスのグローバル化もあいまって,企業は優秀な外国人を採用する動きになってきました.しかし,せめて西崎研に配属される学生には,自分を高めてもらって,世間で言う優秀な人材となって社会に羽ばたいて欲しいと願います.社会へ旅立つ最後の場として,大いに研究室の環境を利用して頂けると幸いです.